ET2018サミットアンケート分析

Subject: Embedded Multicore Consortium News 2018-12-17 よりアンケート分析結果のご報告

 

年末が近づき慌ただしい季節になってまいりました。

 

おかげさまで11月には第5回になります組込みマルチコアサミット(EMS2018)を成功裏に開催できました。過去最高の170名の参加があり、ご来場いただいた方には御礼申し上げます。EMSでは毎回マルチコア利用に関するアンケート調査を実施しておりますが、今回は、その中からいくつかのデータを紹介させていただきます。

 

まずは「マルチコア導入状況」です。左側が今年(2018)、右側が昨年(2017)の結果です。導入済み、導入検討中が増加し、組込み分野におけるマルチコアの広がりが見えてきます。

 

次に5年後に必要になると思われる最大コア数」です。同様に左側が今年(2018)、右側が昨年(2017)の結果です。

 

 

4コア以下が大きく減り、逆に32コア以上が増えていることがわかります。今年の組込みマルチコアサミットにおいても、ルネサス エレクトロニクス社から車載パワートレイン制御向け6コアMPUの講演がありました。NSITEXE社のDFPにはさらに多くのコアが搭載されるとのことです。昨年から今年にかけ、いくつもの組込みプロセッサにおいてコア数の増加が発表され、そのことがアンケート結果に現れていると思われます。 

 

最後に「マルチコアのソフトウェアの課題と考えているもの」です。同様に左側が今年(2018)、右側が昨年(2017)の結果です。

 

 

例年、a「コア数の増加をアプリケーションが意識しなくてもよい実行環境/開発環境」が最も多く、その傾向はアンケートを取り始めた頃から変わっていません。今年の特徴は、bcのヘテロジニアスな環境に対する課題意識が強まっていることでした。

 

ホモジニアス・マルチコアと比べ、ヘテロジニアス・アーキテクチャでは特色を持ったアクセラレータなど固有の要素が増え、かつ、その特徴を活かさなければコスト増に見合わないようになります。そのため、システム設計段階からハードウェアを意識する必要があり、ベンダ間の垂直連携が重要になります。

 

組込みマルチコアコンソーシアムでは、協調的な垂直連携を容易にし、エコシステムを構築することを目指しています。そのために、先日の組込みマルチコアサミットでも紹介した、システム・ソフトウェアから利用可能なハードウェア抽象化記述SHIMや、マルチコア向け設計ガイドの作成などを行っています。

 

これからもEMCをご支援いただきますようお願い申し上げます。

 

組込みマルチコアコンソーシアム会長

枝廣 正人(名古屋大学大学院情報学研究科)

 

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